2019-02-26

JRA日高育成牧場のあしはらです

 寒い毎日が続く北海道。日高育成牧場は北海道の南端、襟裳岬に近い浦河町にありますが、浦河市街から山側に約10km入ったところにあるため、気象庁が発表する浦河町の天気予報と少し違うことが多いです。晴れや曇りの予報でも雪だったり、暖かくて雨の予報でも雪だったり、最低気温がマイナス5度と発表されてもマイナス10度だったりといった感じでしょうか。また育成牧場の事務所と、毎日朝の打ち合わせをしている業務詰所は、車で5分程度の距離があるため、事務所では雨が降っているのに、詰所では雪ということも珍しくないです。しかしながら、原稿を書いているこの日は、天気も良く、澄んだ青空、遠く日高山脈もきれいに見えて、寒さに強い放牧中の馬たちも、気持ちよく草を食んだり、うとうと眠っていたりしていました。育成馬の調教も、坂路を中心に強い調教も行われるようになって来ましたし、繁殖牝馬の経過もそれぞれ順調で、今月22日に1頭目が誕生しましたよ。

Photo 近隣の牧場でも、親子の姿も見られるようになって来ましたね。日も長くなり、暖かさも増して、あわただしくなる毎日もすぐそこという感じです。

展示会

 2月上旬は展示会の季節で、私も行ける範囲で見学してきました。皆さん、いろいろな目的で来られていると思うのですが、たとえば生産牧場や馬主の皆さんは、昨年の競走成績はどうだったのだろうかとか、新種牡馬はどんな交配がベストなだろうかとか、いろいろな思いをめぐらせて見ているものと想像しました。皆さんの今年の注目の2歳デビュー、今年1歳、そして新規の種牡馬はなんでしょうか?私もいろいろ気になる馬はいますが・・・。

 牧場の関係者の方とお話しする上で、種牡馬について勉強しておくことは大切だと思います。まずは、どの繁殖牝馬にどの種牡馬をつけるのかなどの考えを自分なりに整理して、牧場側の種付けの方針はどうなっているのかを聞いてみる・・・そんな会話をかわすことで、知識の幅を広げることができるでしょう。自分が頭で描いていることと同じだな、基本的な考え方が違うなと思ったり、知らないことがわかったりすると思います。一連の展示会は終了しましたが、見学については、場合によっては招待制だったり、事前連絡が必要だったり、関係者以外立ち入り禁止だったりすることがあるので、相手のご迷惑にならないようによく調べて出かけてくださいね。

私の毛色の楽しみ方

 私がJRAに入会した平成2年は、あの芦毛のアイドル「オグリキャップ」の現役最後の年でした。あれから時も経ちましたので、オグリと聞いてもピンと来ない人も増えたかもしれませんね。あの頃は今より競馬が盛り上がっていたので、全盛期を過ぎたオグリキャップが有馬記念で復活優勝したときは、日本中が盛り上がりました。後のクロフネなどの活躍もあってか、芦毛は一種のブームにもなりました。

 さて、毛色についてはこれまでも触れてきましたが、今回は私独自の楽しみ方を紹介してみましょう。偉そうに語るつもりはありません(笑)。皆さんが私に負けない楽しみ方を持っていることは十分承知しております。ですので、「今までとは違う視点で楽しんでみては・・・」そんなタッチで書いてみたいと思います。

理科は苦手、遺伝子は苦手

 毛色の話になると、どうしても避けられないのが遺伝の話ですね。「メンデルの法則」なんて言葉・・・聞いたことありますか?簡単に言えば、お父さんとお母さんから一つずつ遺伝子をもらって、その結果、どっちが優性か劣性かで性質が決まるというやつです。血液型が一番有名でわかりやすいですよね。たとえばAとA、またはAとOならAが優性でA型、OとOは劣性どうしでO型というやつですね。せっかく毛色を楽しむのですから、遺伝の話は完全には避けられないですが、難しいところはできるだけ抜いて話ができればと思います。

私は3つに分けて観察します

 馬の毛色はたくさんありますが、サラブレッドは8色とされていますね。

     鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛、栗毛、栃栗毛、芦毛、白毛

 です。この中で例えば鹿毛の場合ですが・・・一口に鹿毛と言ってもいろいろいて、

 「あれが鹿毛?黒鹿毛だよね」「あんなに黒いのに青鹿毛か。青毛みたいだよね」

 なんとも微妙な会話が、あちこちから聞こえてくることが多いです。そういうややこしいのは、ここではやめます。後で血統の資料などで皆さん自身が確認するなどして、自分なりに楽しんで観察してみるといいと思います。私の場合、まず、3つの部分に分けて観察することにしています。それは、

     長い毛 短い毛 肢の色

です。「長い毛」とは、前髪、たてがみ、尾の毛などのことです。「短い毛」はそれ以外の全身の毛のことで、「肢の色」は前が腕節、後ろは飛節以下の色のことです。実は3つそれぞれが、

     黒くなるか黒くならないか

が、遺伝と関係していて、その組み合わせで毛色が決まってきます。

まずは栗毛から

 まずは簡単なところから、栗毛の馬を見てみましょうか。

たてがみや尾など「長い毛」は黒いですか・・・黒くないですね。

次に体の「短い毛」の色はどうですか・・・黒くないですね。

最後に「肢の色」はどうですか・・・黒くないですね・・・ということで栗毛となります。

 この栗毛は、先ほど少しお話した人間の血液型のO型とよく似ていますよ。人間の場合AB型とO型からはO型は生まれないことはご存知ですよね?必ず優性のAかBをもらうので、A型かB型になります。それと同じように、ここで言う「黒くなる」という性質は優性。なので、先ほど分けた3つのどこかに一つでも「黒くなる」要素を引き継ぐと栗毛ではなくなるのです。

 そこで、こんな法則が生まれます。

                栗毛と栗毛の子は必ず栗毛

 栗毛は黒くならない遺伝子しかもっていないのでこの法則になるわけです。

 「私の好きな馬は栗毛だけど、親の毛色は何かな?」

 と思ったらこの法則を思い出して、両親の血統、写真を見てみましょう。

 「栗毛と栗毛の子だったんだ。そりゃ、栗毛が生まれるに決まっているよな」

 「親はどっちも鹿毛なのに栗毛の子か。黒くならない性質を両方からもらったんだな」

 などと考えることができるでしょう。

 栗毛は栗毛でも長い髪と肢が黒くなくややこげ茶系の体の色をした栃栗毛と言うのもいますから、そうそう単純ではないんですけどね。まあ、ここでは難しい話はしないことにしていますので・・・。

青毛は遺伝の話は「なし」で観察しよう

 そういうわけで、鹿毛、黒鹿毛、青鹿毛、青毛の場合は、栗毛とは間逆に、黒くなる遺伝子が微妙に関係してそれぞれの毛色になるわけですが、栗毛を理解したところで次は間逆の全身真っ黒の青毛について知りたいところですね。前にも言ったことがありますが、青毛はサラブレッドではかなり少ない。「これはどう見ても青毛でしょう」と思って資料を見ても、青鹿毛のことが多いです。青毛は「全身真っ黒」なので、もし青毛でないならどこかに黒くないところがあり、そこを探すのがポイントとなるので、そこを皆さん自身で観察してみてください。意地悪ですが答えは書きません。そして、その場所を覚えたときに、青毛と青鹿毛の区別ができるようになっているはずです。また、鹿毛は体が黒くない、黒鹿毛は少し黒い、青鹿毛は大部分が黒い、青毛は全身真っ黒と単純に覚えればいいのですが、微妙なのもたくさんいますから、毛色の鑑別資料と照らし合わせて観察すれば面白いと思います。

芦毛は変化を楽しもう

 そして芦毛。今まで「黒くなる」とか「黒くならない」とか語ってきましたが、芦毛は、その法則に左右されることなく、「芦毛になる」という遺伝子が一つでも入れば前の毛色が何であろうと芦毛になります。なので、芦毛でない親どうしの組み合わせから芦毛が生まれることはありません。で、こんな法則が生まれます。

                 芦毛の親はどちらかが必ず芦毛

 お母さんが芦毛で白いのに、子供が黒い、茶色いなんていう風景はよく目にしますが、この場合、子供が親の優性の芦毛の遺伝子持たずに生まれるパターンですね。そして楽しみたいのが、何色からの芦毛かですよね。芦毛の当歳は生まれたときは原色のままで、少しずつ変化していくので、かなり面白いです。ちなみに、日本には数頭しかいない白毛。これは芦毛との大きな違いは、生まれたときから白だということ。他の動物でも見られますが突然変異とも言われており、これまで生まれた数が少なく、完全には謎が解明されていないようなので、ここでは語らないことにしますね。

 かなり雑な説明になってしまいましたが、人によって毛色の楽しみ方は違うと思います。また、専門家から見ると少し間違っていると取られる部分もあるのですが、私の話は参考程度として、正確な情報を確かめてくださいね。とにかく、皆さん独自の毛色の楽しみ方をしていただければと思います。

 今回もお付き合いありがとうございました。

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