2017-12-21

JRA日高育成牧場のあしはらです。

寒い霜月

11月は記録的な寒さだったようです。12月に入っても寒い日が続きますね。浦河は雪も多い気がします。

Photo

 皆さんの中にも、体調を崩されている方、いらっしゃるのではないでしょうか?人は「寒い、しばれる」とすぐに愚痴をこぼしてしまいますが、来年2月3月の出産を控える繁殖牝馬たち、そして進度の速いものでハロン20~25秒程度のスピードまで調教を行うようになってきた1歳馬たちは元気いっぱいです。

 繁殖牝馬は、昼夜放牧を終了し、来年の出産に向けての準備を少しずつ整えていくようです。また、1歳馬は、11月終わりの雪と寒さで、1600mの屋外ダートコースは閉鎖されてしまったものの、800mの屋内馬場と屋内坂路馬場を使って順調に調教を行っています。

ウマ科学会

 そして研究関連。毎年、11月最終または12月最初の月曜日、火曜日の2日間、東京で日本ウマ科学会学術集会が開催されています。皆さんご存知でしたか?このブログでは、たびたび学会の話題を書かせていただいていますが、このウマ科学会は、馬が好きであれば、研究、芸術、文化などのジャンルを問わず、誰もが参加していい学会です。どうしても「学会」と言うと、堅苦しく難しいイメージがついてしまいますが、ウマ科学会はそんなことはありません。とても気軽に参加できる雰囲気を持っています。たとえば、ウマに関する行事に参加し、その伝統的な文化について自分なりに研究してみた、とか、馬の乗り方について、こんな視点で追求してみた、とか、最近の競馬の傾向について、自分なりに考察してみたとか・・・なんでもアリの学会.です。芸術文化スポーツ、どんな分野でもいいので、馬に興味のある方は、一度参加してみてはいかがでしょうか?ちなみに来年は12月のはじめに開催される予定ですので、たとえば、日曜日の中山競馬を観戦して、もう1泊して・・・翌月曜日に立ち寄ってみてください。場所は相撲でお馴染みの両国国技館の近くです。たくさんのご来場をお待ちしております。

お母さんとの別れ

 さて、今回は離乳についてのお話です。いつものパターンですが、私が一人暮らしを始めた頃の生活と比較しながら、綴ってみたいと思います。

 皆さんは、いつから一人暮らしをするようになりましたか?

 私は高校1年生から親元を離れ下宿生活が始まりました。北海道日高の田舎から大都会札幌に送り出す親の心情など、当時は考えることもなかったのですが、いざ自分が大学生、高校生の親になってみると、「よく未熟な私を15歳で出せたな・・・」と、親の勇気ある行動と心配な気持ちにやっと気づくことができました。

 さて、馬の離乳。子馬を母馬から引き離す区切りの儀式です。諸説ありますが、期間で6ヶ月、体重で200kgを目安に母馬と子馬を引き離します。ちなみに自然の中では、出産の1か月前になると、子馬の方から哺乳しなくなるそうですが・・・。

 離乳の方法は様々。大まかに2通りに区別すると、放牧地で母馬を別な場所に移動させる方法と、馬房に一定期間子馬を入れておく方法でしょうか・・・。私がよく知っている方法は前者です。さて、この時親子の間でどんなことが起こっているのか・・・少し書いてみたいと思います。

重要なストレスの問題

 下宿先に着いて、荷物整理もひと段落。母親が「それじゃ、行くからね。元気でがんばってね。」と去っていく。いよいよ一人ぼっち・・・。当時はテレビを持ってなかったので、シーンとした部屋の中で泣きそうになったのを覚えています。それでも、学校も始まり生活のリズムができて、1週間程度で不安も消えましたが、子馬の離乳時も、その時の私と同じような心境なのではないかと想像します。

 馬は生まれたての頃からしばらくの間は、母馬から片時も離れないようにするのが普通です。しかし、クリープが始まって、自分で草も食べるようになってくると、子馬だけで戯れあう姿が目立ってきます。親と子の距離は次第に長くなってきますから、まずはその様子を長い時間かけて観察してみましょう。どのくらいの月齢で、母馬とどのくらい距離に置いているかを見るのです。最初はお母さん頼りだったのが、だんだん気にしなくなる。一節には4ヶ月で精神面が安定すると言われているので、生まれて3週くらいのときと比べて明らかに距離が離れていれば、ストレスの問題は小さく順調と判断していいでしょう。きっとスムーズに離乳できるでしょうね。

しっかりと栄養が取れているか

 下宿には、親代わりのおばさんがいて、三度の食事の世話をしてくれました。当時好き嫌いが多かった私は、この食事の時間が辛かった。でも我慢して嫌いなものも食べないと、高校生ですからおなかがすいてしょうがない。ある日ピーマンの炒め物と葱の味噌汁という日がありました。どれも食べられない。でも、栄養のことを考えて出してもらっているんだから、エイッと目を瞑って食べたことを覚えています・・・。まあ、その日を境に少しずつですが好き嫌いもなくなったのでよかったんですけどね・・・。

 馬の場合も、離乳食を与え始めるころから、摂取するカロリー量や必要なミネラル等を考えていかないといけません。中には、母乳が摂取されなくなると成長が止まる馬がいます。特に離乳直後は精神的に不安定になりますから、食欲が落ちることが多いです。離乳前からクリープをきちんと食べる習慣がついていないと長引いてしまいやすいです。その後慣れて食べるようになり、それまで成長が止まっていたところに、急激な体重増加があったりすると、上半身と下半身のバランスが崩れて、骨に疾患を発症することもあるので要注意です。逆に食べすぎもありますからしっかり管理しましょう。

変な癖がつかないように

 一人暮らしも慣れてくると、悪い習慣がつきます。私の場合は深夜ラジオ。夜中の3時まで聞くことが多かったです。睡眠時間は3時間前後。当然、朝起きられない。学校に走って行っても間に合わないからバスに頼る。だめでしたね・・・。

 馬の場合も心配なのは、変な癖を身につけないかです。さく癖と言って、木などをかじりながら空気を飲み込む癖はあまりにも有名です。噛み付く、蹴る、馬房内をくるくる回る、後退りをするなど、気をつけていても習慣づいてしまうことがあります。人もどうでしょうか?私の例のように、家族と暮らしていて、急に一人暮らしをすると、部屋が異様に静かに感じ、人によっては今までやったことがない癖や習慣が付いたりしますよね。原因は様々ですが、規則正しく食べる習慣とストレスをできるだけ与えないということは、人でも馬でも当てはまることだと思います。離乳する頃は、まだ外は暑いかもしれません。吸血昆虫も飛びまわっています。ゲリラ豪雨や雷も多いかも。放牧地の整備をして事故対策をすることも重要です。周囲を眺めながら、みんなで会話をしながら考えましょう。

頼りになる馬がいるといい

 北海道では、大学進学を目指して地方から札幌に来る高校生が少なくありません。私もそんな中の一人でしたが、網走、宗谷、釧路など遠方から来た人たちとまずは仲良くなりました。私なんかより、ずっとしっかりしていて頼りになる友達でした。勉強で悩んでいる時、真っ先に相談したのは、同じ境遇の彼らでした。

 以前、母馬にはいろいろな性格があることを書きました。中には、子育てが上手なお母さんがいます。自分のお母さんでなくても、なんとなく心が許せる存在の馬がいるはずです。離乳の時は、少しずつ順番に母馬を引き離す方法が取られますが、穏やかで面倒見のいい母馬を残すか、代役を入れることで、子馬たちのストレスも緩和することがあります。子馬たちが代役の母馬に気を取られているうちに、母馬たちを連れ去ることができれば最高の形と言えます。そして代役から子馬たちが離れて草を食べるようになれば、その代役も出していいでしょう。そうそう、子馬から引き離された母馬たちも結構傷ついているので忘れないでください。彼女たちも我が子を探して、食べることも忘れて、元気をなくしているかもしれません。乳も張って痛みを感じ、熱を出している場合もあります。十分なケアと必要な治療をしてあげてください。

 さて、ここから子馬は若馬となり、人との本格的なコミュニケーションが始まります。油断すると、間違いなく精神的に不安定になっていきます。場合によっては、人に対して不信感を抱くものもいるので、引き馬や馬房での手入れの仕方が重要になってきます。その詳細は次回以降に書くこととなりそうですね・・・。

 今回もお付き合いありがとうございました!

コメント

コメントを投稿

« みなさん、こんにちは。ビッグレッドファームの堀田です。 | メイン | 冬本番 »



本ブログにご参加いただける牧場を募集しています。
現時点での求人の有無は問いません。ご興味をお持ちの方はこちらからお気軽にご連絡ください。