2019-08-01

JRA日高育成牧場のあしはらです

暑さと長雨

 8月になりました。今年の北海道は場所にもよりますが6月は天気も良く、雨が少ない日が続きました。このまま暑い夏かと思いきや7月は曇りや霧雨の日が多かったですね。そしてここにきて異常な暑さ・・・体が参っちゃいます。一方、西日本に目を向けてみると、梅雨の時期から災害級の豪雨のニュースを聞くことが多かったですね・・・。そして8月は35度以上の猛暑が続くようです。このようにここ数年、偏った気候の年が目立ちますが、北海道では5月の暑さと少雨の影響で、また九州方面は相次ぐ長雨により農作物にも影響が出ているようです。

 関連があるかは別として、北海道の牧草の収穫は、昨年に比較して、今年は早めに進んだようですね。少し待って、収穫量を多くしたい、でも待ったせいで雨に当たると後悔するなんていう、微妙なところがあるものですが、気候が不安定な中、このような判断はとても難しくて、これからの経験が大事になってくるかもしれません。台風のニュースも例年に比べてあまり聞かない気もしますが、油断禁物ですよね。日頃からできる範囲での備えをしておくのが無難でしょう。

 さて市場は、セレクト、セレクションまで終わりました。両市場とも昨年に負けず劣らず盛況でした。セレクトセールは例年どおりに高額の取引馬が続出し、記録的な売り上げでした。またセレクションセールも売却率、額ともに好調でした。JRAも事前の下見を実施するなどして、予定どおりの頭数を購買することができました。なお、セレクトの当歳については、下見の時間帯に興味のある産駒を中心に見せていただきました。

 また、毎年盛り上がりを見せる馬フェスタも天候に恵まれ、多くのお客様を迎えてこちらも盛り上がりました。馬上結婚式では例年どおり2組のカップルが選ばれて実施されました。その中の1組は、ご両親もこの浦河の地で馬上結婚式を行ったとのことで、会場のお客様を感動させていました。そして子供たちによるジョッキーベイビーズですが、こちらも緊迫感のあるレースが繰り広げられました。

Photo_3  子馬たちはいよいよ離乳の季節をむかえることになります。今年は8月から9月にかけて3回に分けて実施する予定です。1歳馬は、すでに育成エリアに引越しを完了。セレクト、セレクション入厩組との共同生活が始まりました。サマーセールが終われば、いよいよ馴致が開始となります。

若手職員研修

 さて、今年は20代後半のJRA若手職員(入会5年目)が生産地研修で日高育成牧場にやってきました。ようこそ日高へ・・・なんてのん気に出迎える予定でしたが、日高の生産と育成に関する講習会を実施してほしいと言われたので、急ピッチでスライドを仕上げて講義を実施しました。久しぶりに大勢の前で講義をしたので緊張しました。一般のお客様ではなく、競馬の専門家相手でしたので・・・(汗)。普段の業務が事務所や競馬場での執務中心の職員にとっては、種付、妊娠、出産、育成の現場を見たり、話を聞いたりする機会は限られているということで、できるだけ興味を持って聞いていただけるように頑張りました!妊娠から離乳までの約17ヶ月間について、コンパクトにまとめて話すことにしたのですが、時間帯も19時30分スタートと遅かったこともあり、旅の疲れのある研修生相手に上手くできるか心配したものの、有意義な講義(自己満足?)ができました。翌日には懇親会も行われ、地元牧場の青年部の方も交えての意見交換会にもなり、充実の2日間となったようです。将来の競馬を支える、立場の異なる人が交流する様子を見るのはいいものですね。今後もこんな機会が沢山あるといいなと感じました。皆さんも機会があれば、是非同じような経験をしてもらいたいです。その際は、将来の競馬について大いに語り合ってください!

脈をとる

 以前にも触れたことのある話題ですが、脈の取り方に関して、あらためて簡単にですが触れてみたいと思います。

 みなさん、体育の時間や健康チェックのときなどに、手首の手のひら側やや外に指を当てながら脈拍数を計った経験があると思います。人だと、一般的には65~75回/分くらいの人が多いのではないでしょうか。陸上などスポーツをやっている人だと40回/分くらいの人もいるかもしれません。個人差があって面白いですよね。また韓国の時代劇などを見たことのある方ならピンと来るかもしれませんが、ドラマの中で、医師が病気の王様や妊娠の可能性がある女性の手首の脈を取る場面がよく出てきます。脈を取りながら、感じる拍動の強さ、血液が流れるさらさら、ザラザラというような微かに指に伝わる感触から、病気の種類や妊娠の有無を言い当てる・・・。「本当にわかるのかな?ドラマだし・・・」と大いに疑いたくなるのですが、後で調べてみると、本当に脈の強さや打ち方、感じ方で診断をしていたようです。

 実は馬でも似たような診断が今でも使われていて、よく行うのが、馬の球節の裏側に指をあてて「指動脈」と呼ばれる部分の拍動をみるもの・・・。

Photo_6 たとえば若馬でも競走馬でも、蹄の炎症が原因で跛行することがあると思うのですが、そのとき指動脈を触ってみると、正常時と比較して拍動を強く感じ取ることができます。日常の馬の管理の中で、脚部を触って状態を確認する作業は多くの場合ルーチンとして行われていると思うのですが、例えば蹄が熱っぽいとき、球節から下が腫れているときなどに(くれぐれも蹴られないように十分注意しながら!)是非脈を取ってみてほしいです。最初のうちはわかりにくいと思うので、毎日取ってみるのがいいでしょう。次第に感覚がつかめるはずです。また、いろいろな馬の脈をとって、違いを感じ取るのもいいでしょう。

 身近に脈を取れる部分は他にもあります。心拍数は聴診器を使い胸の部分に当てないと聞くことができないと思っている方・・・以外に多いと思います。人に触られることに慣れていない、顔を触られるのを極端に嫌がる馬では少し難しい(こちらも十分に注意して!)と思いますが、馬の顎の部分で脈を感じ取れるところがあります。

Photo_5  写真を見ていただければと思います。やや強めに押すように指を当てると感じる場所があるはず・・・。時計を見ながら心拍数を計ることができますよ。私たちが手首で心拍を取るのと同じような気持ちでやってみてください。

装蹄師や獣医師と話をしながら

 跛行の診断は獣医師や装蹄師に任せるべきですが、自分なりに何らかの異常を感じとれるようになったうえで、装蹄師や獣医師に相談すると、いろいろな面で理解を深めやすくなると思います。蹄に原因があるようなら、装蹄師さんによる削蹄などの処置でよくなることもありますし、触っただけでは原因がわからないときは、獣医さんが指動脈の状態を確認した上で、適切な方法で診断してくれるかもしれません。こういったことは、お互いに話ししながら原因を探ることで早期解決につながります。

そしてプラスα

 今回のように、獣医師や装蹄師と話をする機会ができたら、日頃疑問に思っていることを直接聞いてみるといいと思います。例えば、

「先生、診察のときに肢を触るけど、どこをどんな風に触っているんですか?」

などと、聞いてみるとか・・・。優しい先生なら、いろいろ説明しながら、例えば関節の曲げ方とか、屈腱部の触り方を実践してくれるかもしれませんよね。

「競走馬と育成途中の馬では、骨折するところは微妙に違うものなの?」

なんて質問すれば、指差ししながら骨折する部分の説明をしてくれるかもしれません。

 常にプラスαを狙っていきましょう。もちろん病気のことだけにこだわらないで、日常管理に関する素朴な疑問でもいいと思いますよ。

 あなたの気持ちしだいでいろいろ得することが増えるでしょうね・・・・。

 今回もお付き合いありがとうございました。

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