2019-07-04

JRA日高育成牧場のあしはらです

セール、シンポジウムそして馬フェス

 7月になり、北海道の一番よい季節になってきました。今月は行事が沢山あります。

 前半ですが、市場関係では、九州、八戸がすでに終了しましたが、セレクト、セレクションと続けて実施されます。私は例年どおり、セレクトの1歳、当歳市場とセレクションセールに行く予定です。またセレクトとセレクションの間になりますが、生産地シンポジウムも開催されます。生産地疾病等に関する調査研究については以前もご紹介しました。日高地区に関わる獣医師が協力し、3年単位で実施しているものですが、今年はその3年の節目となる年に当たり、研究成果の報告が行われるということで、どんな話を聞けるのか楽しみにしているところです。そして、月末には浦河馬フェスタが実施されますよ。こちらも毎年恒例のイベントですが、馬上結婚式やジョッキーベイビーズの地区予選など、日高ならではの行事が盛りだくさんです。夏休み期間中でもありますし、遠くにいらっしゃる方でも、足を伸ばしてみるのもいいと思います。

 1歳、当歳ですが、穏やかな天候の中、みんなそれぞれ元気に過ごしています。

Photo

Photo_3 当歳では、早生まれが200kgを越え、1歳では半分以上が400kgを越えて大人っぽくなってきましたね。それぞれ、順調に成長しています。そんな当歳、1歳たちと身近に触れ合える恒例の見学バスツアーですが、今年も開催中です。JRAホームページ内の日高育成牧場のコーナーを検索していただくと詳細が載っています。季節により実施するイベントも異なりますので、事前に確認をお願いします。そして、どうぞお気軽にご参加ください。お待ちしております。

Photo_2 昨日まで大丈夫だったのに・・・

 さて、今回は「当番」にスポットを当ててみることにします。学校なら、掃除当番とか、日直当番とかありますよね・・・ん?今はもう、そんな呼び方ではないのかな?そんな「当番」について、皆さんはどう思っているのでしょうね。

 馬取扱いの仕事をしている現場では、「当番」という言葉が頻繁に飛び交い、皆さんが実際に勤務するようになると、交代で役割が与えられるかもしれません。たとえば、「飼いつけ当番」なんていうのが一番初めに思い浮かぶかもしれませんが、他にも調教監視当番といって、競馬場やトレセン、育成場など調教を行うところでタイム計測をしたり、事故の対応をしたりするものがあります。また、深夜早朝に起こるアクシデントなどに対応する早出当番、出産の季節には分娩が近くなると交代で監視する当番、他では例えば獣医の場合だと、競馬開催当番と言って、競馬の前日や当日に病気になって出走できない馬に対応する当番もありますし、検疫当番では、トレセンでは入厩するときにいくつかの条件があって、例えば指定の予防注射と指定の期間内に投与しているかとか、体のどこかに異常がないかをチェックする当番もあります。いずれの場合においても、重要な業務であり、競馬、厩舎、牧場関係者は100%に近い万全の体制で準備をして、様々な当番をこなしながら馬を管理しています。とは言っても、そこは馬という生き物を管理するわけですから、「絶対」とか「完璧」はなく、前日の夜に突然調子が悪くなる馬が出たり、イベント当日の朝に思わぬアクシデントに見舞われたり・・・なんてこともあるわけです。で、「昨日まで大丈夫だったのに・・・なんで今日になって・・・」なんてせりふも出てくるのですが・・・。

どんなことが起こる可能性があるか想定してみる

 漫然と当番をやっていても進歩がありません。上手くいかないことが続けば苦痛になることも・・・。なので、どんな馬の何に関する当番を引き受けたら、どんなアクシデントが起こりうるか、事前に頭に入れておくことが大切ですね。そうすれば、毎日の馬との生活の中で、何をしておくことが大事かわかってくるはずです。そして苦痛だった当番も普通にできるようになるでしょう。

 では、どんなことに気を配ればいいのかですが・・・。

一番大切なことは「厩舎、馬房を常にきれいにしておく」です。

 なんだ、そんな単純なこと?・・・しっかりマニュアルを作って覚えて仕事をするものじゃないの?・・・と思うでしょう?でもこれが一番大切!

 私は現場の獣医のときに取り消し当番というのをよくやりました。レースの直前に病気や事故で出走できない可能性がある馬の診断をするというものですが、ある時、厩務員に呼ばれて右前の球節が腫れているということで駆けつけたことがありました。確かに診ると言われた部分に小さな傷があって、腫れて痛がっていたので、発熱があり、感染して化膿しているケースと診断して、予定のレースを取りやめるようにアドバイスしました。一連の手続きと治療が終わり、あらためて馬房の中をよく調べてみました。すると、比較的新しいと思われる馬が蹴って穴があいた跡があり、その近くに突起物があったのです。あくまでも推測に過ぎませんが、その突起物に引っかかって、怪我をして軽い感染を起こしたものと私は考えました。事前に馬の最終チェックをするときに、馬だけでなく、馬房の中の様子をよく観察していれば、もしかすると防げたことだったかもしれません。馬房の出入り口や通路、厩舎の出入り口にも、ついつい、いろいろな道具を置いてしまいますが、何かの拍子で蹴ったり、引っかかったりする原因にもなりかねません。釘や金属物などが落ちていて踏んでしまうと、蹄を痛める可能性もあります。

 どうでしょう。「馬房を常にきれいにしておく」ということを考えるだけで、周囲を見渡しながら、そのときにやらなければならないことが沢山思い浮かんでくる・・・。このようなことは、皆さんが経験を積むことで良い馬の管理につながっていくものなんでしょうね。

経験から想定してみる

 病気、事故といっても、数え切れないほどいろいろなケースがありますが、レースの直前やセールの直前に「よく起こる」病気、アクシデントというのがあると思います。いくら優秀な人でも、すべてを覚えることは不可能です。でも、こんなときに、起こる確率の高いことってどんなことだろうと、たえず疑問を持ちながら、一つ一つ知識として積み上げていけば、効率的に覚えることができると思います。これらに関する知識は、何度も言いますが、それまで培った経験から身につくことが多いと私は思います。どんなに小さな経験でも、粗末にしないで、頭の中に入れる、私のように覚えるのが苦手な人は、必要に応じてメモを取って整理しておくと、将来の宝ものになると思いますよ。当番は何かとストレスを感じやすい業務ですが、日頃の努力の積み重ねと、ほんのちょっとのコツで克服できます。そんなことを伝えたかったです・・・。

 どうか、みなさんもいろいろな経験を積んで宝物を増やしていってください。

今回もお付き合いありがとうございました。

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