2019-05-13

JRA日高育成牧場のあしはらです

今年の桜の満開は・・・

 5月は北海道の春。桜が咲く季節です・・・なんて、内地の人が聞くと「何言ってんの?」なんて思われそうですが、日高ではゴールデンウィーク後半が桜の季節なんです。寒い年だと、ゴールデンウィークが終わってからなんてことも・・・。花見といえばジンギスカンが定番で、場所によってはライトアップで夜桜見物なんてイベントもあります。まあ、結構寒かったりするのですが・・・。私は北海道出身なので、それが当たり前で、滋賀で就職して、はじめて本州の桜を目の当たりにして驚いたのが4月初めに桜が咲いていること。そしてエゾヤマザクラを見慣れている私にとっては、ソメイヨシノ、葉桜でない、鮮やかな桜を見たのが衝撃的でした。そもそも「葉桜」という言葉があることをこのときに知ったかもしれません。写真は今年の浦河の桜並木です。(満開時期に不在にしていたのが残念・・・)

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 そんな中で、子馬たちは、緑も濃くなってきた放牧地をお母さんと一緒に楽しく駆け回っています。1歳たちは、早生まれでは150kgくらいにまで成長して、体も一回り大きくなったように見えます。また北海道トレーニングセールに向けて調整している育成馬たちですが、それぞれのペースにあわせながらの調教が続いています。また、来年の出産に向けて、種付けも計画どおりに進んでいる様子。人も馬も、それぞれの春を感じながらすごしているようです。

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浦河港に豪華客船が

 ゴールデンウィーク明けの5月10日、浦河港に豪華客船が就航しました。船の名前は「ぱしふぃっく びーなす」号。神戸・横浜が出発地で、反時計回りに太平洋、日本海と日本一周するクルーズ船の最初の就航が浦河ということで、この春ちょっとした話題となる出来事でした。実は私もこの船にスタッフとして乗船し、各寄港地の魅力を事前にお伝えするという企画の中で、浦河の馬の生産に関する紹介をするということで、馬の講義をしてきました。今回は45分と時間が限られているということで、馬の種付けから出産、離乳までの過程をわかりやすくコンパクトにまとめてお話してきました。上手く伝わったかどうかはわかりませんが、皆さん真剣に聞いてくれた様子で、良かったのかなと思います。このような機会は頻繁にあるわけではないので、とても貴重な体験でしたが、各種イベントの中で馬の話をすることは、日高育成牧場が協力すべき重要な仕事と認識していますので、皆さんの周りでも何か馬に関する講演などの要望がありましたら、ご一報いただければと思います。よろしくお願いします。

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Photo_5 馬はニンジンが好き?

 さて、今回は食べ物の話です。 

 日常生活の中で、例えば馬の絵を見る、写真を見る、テレビの動物関連の番組を見る・・・なんてこと・・・よくあると思います。だって、このブログを読んでくれている人は、無類の馬好きですから、そういう機会はより多くあると想像します。で、今、馬の絵、写真、漫画など何でもいいので、頭の中で思い浮かべてもらいたいのですが、例えば食べるシーンだと、馬が美味しそうに何を食べているか・・・おそらく多くの人は、草やニンジンを食べている姿を思い浮かべるのではないでしょうか?

「馬はニンジンが大好きだよね」

これ、常識!なんて思う人・・・多いと思います。

 こんな書き出しだと、次に否定が入りそうなものですが、いえいえ、私も馬はニンジンが大好きだと思いますよ。

 でも、何で馬といえば「ニンジン」なんでしょうね。

諸説あり

 私が聞いた話では、馬は甘いものや甘い香りがするものが好きで、例えばおなかがすいていそうな場面などで手懐けるために、たまたまニンジンを使うことが多かったから・・・と聞いたことがあります。馴致のときなど、ハミを装着するときに口を上に上げて嫌がる場合をよく見ますが、ニンジンを食べさせて、その隙に装着するのを見たことがあります。色、硬さ、味、使いやすさ・・・様々な理由で多く使うようになったかもしれません。そんな感じで、馬といえばニンジンというイメージがついたのかもしれませんね。確認したことはありませんが、ニンジンが嫌いな馬もいるかもしれません。しかしながら、確実に甘いものを嫌う馬はいないと予想します。

 私が競走馬の治療を現場でやっていた頃・・・

 「先生、食欲がないんだよね・・・何かいい薬を飲ませてほしいんだけれど・・・」

 と診療依頼を受けることがしばしばありました。大体の薬は味がないか、苦いかですから、なかなか難しいですが、食欲増進作用のある薬はいくつかあったので、それに甘いものを混ぜたり、甘い香りのする薬を入れたりして与えたものでした。薬を飲ませるときは、鼻からチューブを入れて流し込むのが普通ですが、食欲を掻き立てるには、舌に絡ませたほうが効果ありのこともあるんですよ。なので、小型のポンプに薬を入れて、強制的に口の中に押し込むこともありました。歯茎を出して、いかにも「美味しくない~」という顔をするのが面白かったりするのですが、もちろん、食欲を取り戻して競馬で頑張ってほしいと思いながら治療をしていましたので決して悪気はありません。勘違いしないでくださいね。

疑問と工夫

 では、ニンジン以外で好きなものはあるんでしょうかね?例えばバナナ。大好きです。バクバク食べます。栄養もバッチリですしね。リンゴも大好きですよ。大きいままだと消化に悪いので切ってあげたほうがいいのですが、ガリッガリといい音立てて美味しそうに食べます。今ではあまり見なくなりましたが、角砂糖もガリガリと美味しそうに食べます。まあ、甘いものは何でも好きなのかもしれません。

 競走馬は競馬に応じたエネルギー摂取が必要ですが、厳しい調教を重ねていると、体調によっては食欲が落ちる場合が出てきます。食べなければ翌日の調教に影響が出るだろうし、食べなかったから、翌日の調教強度を落とすとなれば、競馬の成績に影響してくる。管理する人は、何とか食べさせたい、栄養のあるものを摂取してもらいたい・・・そんな考えから、ニンジン以外の好きなものを探すこととなるのです。バナナがいいらしいよ、リンゴもいいかも・・・なんて話が広まってね。

 昔、面白いことをやっている場面に遭遇しました。普通、馬の飼葉桶って一つですよね。あるとき、プランターのような容器を馬房の中に5つくらい並べて、1種類ずつ食べ物を入れて与えていたんです。面倒くさいことするなあ、としかそのときは思わなかったのですが、人に食べ物の好き嫌いがあるように、馬にも好き嫌いがあるんですね。で、その馬が好きな食べ物を探って、必要な栄養をたえず取れるようにしようと試みていたわけです。実に面白いですよね。

 単純な食べ物の話・・・と受け取られてしまいそうですが、実は、当たり前にやっていることでも、ちょっと疑問を感じたら、みんなに提案して、アイデアを出しあいながらいろいろなことにチャレンジしてみるべき・・・そんなことを食べ物の話を例にあげて言ってみたかったのです。これは馬に乗っているときも当てはまることがあると思います。最初は教えられたとおりに基本をやって、そして技術が上がってきたところで、自分なりに工夫してみるのです。時と場合によってはそういうことが大切になってくると思います。

 あらゆることに疑問を持ち、場合によっては何か工夫してみる・・・。皆さんの技術を伸ばすために必要なことだと思いますよ。

今回もお付き合いありがとうございました。

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