2019-04-16

JRA日高育成牧場のあしはらです

ブリーズアップセールに出発

 昨年のセール後にやってきた育成馬たち・・・。馴致、調教などいろいろなステップを踏みながら成長し、4月10日の展示会も終了し、セール開催地に向けて出発の日を迎えることとなりました。そして、この原稿がアップされる頃は、住み慣れた日高をあとにして、中山競馬場に到着し最後の調整を行っていると思います。順調に調教メニューを消化していった馬、何度か調子を崩して足踏みした馬・・・いろいろでしたが、全体的には例年に比較して順調だったのかなという印象です。4月23日のブリーズアップセールで購買された育成馬は、各所属厩舎および関係牧場に移動して調教を積み、6月の新馬デビュー戦に向かっていくことになります。私もテレビ観戦にとどまらず、機会を作って、育成馬のレースを見に行くことができればなあ、と思っています。

 残念ながら今回のセールに出場できなかった育成馬ですが、その中の何頭かは5月の北海道トレーニングセールに向かいます。ブログ投稿のタイミングにもよりますが、その状況については、また報告したいと思います。

分娩もまもなく終了です

 分娩も今月末予定日の1頭を残して無事に終了しました。親子たちは、それぞれの成長に合わせた広さの放牧地を駆け回り、元気に過ごしています。また、原稿を書いているこの日は、のんびりと過ごす1歳馬を写真におさめることができました。

Photo

Photo_2  最初に産まれた子馬はすでに100kgをこえており、かなり大きくなりしっかりしてきましたよ。草も青々してくるこの頃になると、栄養のある草を食べた母親の乳を飲むことで、子馬たちは急激に成長することになります。過去に何度か言ったことがあるかもしれませんが、成長の過程では、バランスがとても大切です。上半身の成長が先行すれば下肢に負担をかけますし、逆の場合は下肢に適度な負担がかからず、骨や筋肉、靭帯の成長や強度に影響が出てきます。特に、生まれて3ヶ月前後が一番変化の激しいときなので、より注意深く観察しなければなりませんね。その成長の様子については、今後も報告していきたいと思います。

気分を変えて

 若いときは予想もしなかったことですが、年をとって50を過ぎて痛感することが2つあります。一つは字が見づらくなってきたなあ、ということ。そして、もう一つが、あちこち体が痛くなってきたなあ、運動不足だよなあ・・・ということです。私は根っからの怠け者なので、運動不足解消のためにスポーツをするとか、朝ランニングをするとか、ストレッチをするとか考えません・・・。だめですよね。でも多くの人は、

 「どこかのスポーツクラブの会員になって、トレーニングで汗を流してみよう」

 「水泳なら若いときに得意だったし、久々に泳いでみようかな」

なんて、気分を変えて体を動かしてみる、いつもと違う筋肉を動かしてみるなどと考えることでしょうね。また、普段からスポーツをしている人で、思わぬ故障をしたりして、休養を余儀なくされたときに、筋肉の衰えや、心配機能の低下を恐れて、そのときに合ったトレーニング方法を考えて体を動かすことでしょう。そんな努力が実を結んで、回復したときには、そう苦労することもなく、体も元に戻り、いい思いをしたりするでしょう。

 馬の場合も、一種の陸上選手と言えますから、故障とは背中合わせのところがあります。私は過去に、「馬の温泉」「リハビリセンター」とも称される福島県いわき市の競走馬総合研究所常磐支所というところで勤務した経験があります。そのような施設は、日本では限られたところにしかなく、様々な方法で馬がリハビリを実施していることは、あまり知られていないかもしれません。

 今回はごく簡単ですが、トレッドミルとプールを取り上げて書いてみたいと思います。

トレッドミル

写真はトレッドミルと言う器具を使ってトレーニングを実施している育成馬です。

Photo_3  ひと昔前なら、高価で設置も面倒で、使い勝手もあまりよくなかったものですが、近年ではとても使いやすく、牧場単位で所有できるほど身近なものになってきました。その利点はいろいろ・・・。第一は効率的に運動ができることでしょうか。少ない人数で、大きく場所をとることもなく、決まった時間の中で行うことができます。その前段階として、準備運動をするための施設であるウォーキングマシーンも普及しており、これらを組み合わせることでバラエティに富んだ調教をすることができます。私がJRAに入って間もない頃のトレッドミルはどちらかと言うと研究目的で使用することが多かった・・・。例えば、馬の走行フォームを記録して分析するとか、馬の吐く息や血液を走行中に採取して能力分析するとか、内視鏡を装着したまま走らせて呼吸機能の検査をするとかです。またある程度の馴致訓練も必要でした。今では、育成調教の過程の中で、調教進度遅れの育成馬に使用したり、全馬トレッドミル調教の日を設けて、運動強度の判定をしたりと、いろいろな使われ方がされるようになってきました。今後は至るところで、そのような光景を目にすることになるかもしれませんね。

 プール

 馬が泳ぐ姿など、想像したこともない、見たこともない・・・と言う人、きっと多いですよね。馬用プールはJRAでは東西のトレーニング・センターや福島県いわき市にある馬のリハビリセンターにあり、調教やリハビリに利用されています。一番の利点は、足元に不安がある場合でも、泳ぐことで心肺機能を低下させないことでしょうか。水の中に入ると水圧がかかるので、呼吸するときに力が要ります。そして、泳ぐためには一所懸命前後の肢を動かすので、筋肉トレーニングにもなりますね。

 見ていると面白いですよ。人を同じで泳ぎの上手い馬、下手な馬がいます。下手なパターンで一番多いのは、あせって、前足だけ動かして、後ろ足を動かすのを忘れること。そうすると、お尻がだんだん沈んでいって、「助けてくれー!」という状況になる。そんなときは、急いで出口まで引っ張ります。上手な馬は、お尻が水面に見えて、ぷりぷり動かしている姿を観察できます。トレセンでの見学は条件があり難しいことが多いですが、福島県いわきでの見学は比較的自由ですので、HPなどで調べて行ってみるのもいいでしょうね。屋外プールなので、実施期間は概ね5月中旬から10月上旬です。寒いと水に入れないところは人と一緒です。

 ちなみに私は25mも泳げません、あしからず。

 写真はプール調教の様子と温泉で疲れを癒しているところです。

Photo_4 今後の活用は皆さん次第!

 今回はリハビリ法の単純な紹介・・・というよりは、これらの方法をどう発展させていくかは皆さんが考えていくことだ・・・そういう思いで書いてみました。皆さんの中にもリハビリに興味のある人がいると思います。多方面から情報を仕入れて勉強してみてください。今後どんな風に使われるようになっていくのか・・・それは皆さんが是非考えていってくださいね。使っていくうちに思いがけない発見もあるかもしれませんよ!

 今回もお付き合いありがとうございました。

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