2018-04-11

JRA日高育成牧場のあしはらです。

育成馬展示会

 3月も雪が多く、本当に春が来るのかなあ、と心配していましたが、急激にあたたかくなり、雪解けが進みました。気がついたらもう4月。流石に内地のように桜の季節はまだ先ですが、日高育成牧場も育成調教が架橋に入ってきました。この時期になると、順調に進むものとそうでないもので差が出ますが、あせらず急がず、それぞれの馬にあわせながらの調教が行われています。

 そんな中、去る4月9日に育成馬の展示会が行われました。

 

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今年は肌寒くみぞれの降るあいにくの空模様。展示は覆馬場で実施しました。しかしながら、騎乗供覧の時間には天気も回復し、多くのお客様に見ていただけました。育成馬たちは、4月16日に中山に向けて出発し、24日のブリーズアップセールに備えることになります。

スプリングキャンプ

 一方、繁殖のほうですが、4月8日を最後に予定馬の分娩が終了しました。今年はメスが続き、結局オスは1頭でした。こんな年も珍しいです・・・。2月に生まれた子馬は、早くも100kgを超えました。みんな元気に放牧地を駆け回っています。

 そして、今年も全国の獣医系大学から、春休みを利用して、馬の繁殖について学びたい学生が7名、日高育成牧場にやってきました。昨年は、残念ながら出産には立ち会うことができず、今年こそは・・・と思っていたのですが、またタイミングが外れてしまいました・・・。こればかりは思うようになりません・・・。しかしながら、生まれたばかりの子馬、1ヶ月ほどたった子馬、出産直前の母馬の世話をしながら、多くのことを学ぶことができたようです。これをきっかけにして、一人でも多くの人が、馬の獣医師を目指してほしいと願うばかりです。

はらのうちを考える

 朝だ、今日もよく寝たなあ。一日の始まり、朝ごはんを食べて頑張ろう!やっと昼か。ランチは何にしようかな。今日も1日よく働いた。腹も減ったし、豪華ディナーでいこうか。

 人の場合、1日3回、一定のリズムで食事をする人が多いと思います。まあ、2回の人もいれば4回、5回の人もいるでしょうけど・・・。では、馬はどうでしょうか?放牧された姿を観察してみると、寝ているときを除いて、休むことなく食べているように感じませんか?あんなに食べ続けているのにお腹いっぱいにならないのかな?そんな疑問がわく人もいると思います。その疑問を解くには、馬のお腹の中の特徴をよく理解することが大切だと思います。そこで今回は、馬の「はらのうち」を考えてみることにしましょう。「はらのうち」にはいろいろな秘密があるのですが、あれもこれも書いているときりがないので、話を2つに絞って綴りたいと思います。1つが「小さい胃と大きい腸」についての話、もう1つが「不安定な腸の構造」についての話です。

小さい胃と大きい腸

 最初に断っておきますが、このブログでは、細かいことは抜きにして、大雑把に考えます。

 馬の胃腸は、お腹の中に規則正しくおさまるものの、本来は細長く、太さも部位によってまちまちで、複雑に入り組んだ構造ですが、ここは大きさだけを考えるということで、少し乱暴ですが、胃と腸を2つの球体に例えて考えてみることにします。

 馬の写真の中に、球体に例えた胃腸のおよその大きさを示してみました。

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 まず胃腸の位置ですが、胃が体のほぼ真ん中、腸が体後ろ半分と考えてください。そこで最初の問題ですが、胃はどのくらいの大きさか・・・?図に示したように腸と比較して概ね1:20というところです。体重が500kg前後ある動物ですから、胃はさぞかし大きいだろうと予想した人が多いと思います。しかし、実際はバスケットボールくらいの大きさです。容積にして8~15L。体が大きい割に意外に小さいですね。では残りは・・・というと、もちろん肝臓や腎臓など小さくも重要な臓器がたくさんありますが、大部分が腸なんです!腸も大腸と小腸に分けられますが、ほとんどの部分が大腸で占められています。

牛は胃で、馬は腸で生きている動物だ

 などと表現する人もいるくらいで、図を見るとなんとなくそうだなあ、と思いますよね。皆さんは「お腹がすいたなあ」と感じるときは、たいていの場合、胃が空っぽのときに感じるはずです。便秘で腸にものが溜まっている人も、胃に何もなければ、お腹がすいた・・・となるはずです。馬は腸に比べて胃の体積が極端に小さいですが、あれだけの体を維持するためには、沢山の草を食べ続ける必要があり、小さな胃に溜めきれずにどんどん腸に送り出すので、常にお腹がすいた状態が続くわけです。

とにかく胃が小さく 腸が長くて大きい

 そんな風に考えてもらうといいと思います。

不安定な腸の構造

 さてさて、いったい何が不安定なのか・・・。

 お腹の大部分を占める腸。繰り返しになりますが、実に複雑に規則正しくお腹の中におさまっています。その詳細を書くと煩雑になりますので省略しますが、簡単に覚えるとすれば、

前には細くて長い小腸、後ろに太くて短い大腸

 などと考えてもらうといいと思います。

 イメージの仕方を書くのは非常に難しいですが、一応やってみますか・・・。まずは腸の太さをイメージしてみましょうか。そうですね、片手で「OK」のポーズを取ってみてください。親指と人差し指で作る輪・・・。これが小腸の太さだと思ってください。次に大腸です。両手でバレーボールをつかむ格好をしてみてください。そう!その太さです。次に長さですが、およその数値ですが、体長の約4倍なので8~10mというところでしょうか。他の家畜に比べると短いですが、それでも十分に長いですよね。これが複雑ながらも丁寧に規則正しくお腹の中におさまっています。しかしながら、馬は体調が悪くなると食べ物が胃や腸でつまって便秘になったり、腸が変にねじれて、激痛に襲われたりすることがあります。これを疝痛(せんつう)とか腹痛(はらいた)と呼んで、適切な処置をしなかったり、ねじれた腸が元に戻らなかったりすると生死に関わることがあります。

 では、これがなぜ捻じれやすいかなんですが・・・。いろいろ理由はあるのですが、生まれつき持っている馬の内臓の特徴の一つとして、

腸と腸の間にあって、位置を安定的に保つ膜が発達していない

 ことがあげられます。ん~、ちょっと表現が難しかったな・・・。そうそう、皆さん、頭の中で学校の理科室にあった人体模型図を思い出してみてください。お腹の部分をのぞくと小腸の周りを大腸が囲んでいて、腸と腸の間が膜でつながっていて、比較的安定的な形をしていたと思います。でも馬の場合は、腸が巨大で複雑な割に、その間を支える膜がない部分が多いのです。体調を悪くする、食べ過ぎる、食べない、変なものを食べる、精神的に緊張するなどの要因が重なって、腸の中に糞が溜まりすぎて動かなくなる便秘やガス腹になったり、時に変位してねじれたりするわけです。そうそう、音楽を聴くときに使う二股のイヤホンがありますよね。あれって、イライラするほど絡まるときありませんか?もし二股のところやその他の部分が膜的なものでしっかり固定されていれば、無駄に絡まないかもしれません。どうでしょう?少しわかりにくかったでしょうか?

上手な飼養管理を

とにかく、

胃が小さいので食べ続ける。

腸の中、溜まりすぎには要注意。

 そんなことを常に頭に入れておけば、餌の与え方、放牧地の管理の仕方、糞量などに注意がいくと思います。近くに獣医さんがいれば必ず馬の解剖図が載っている本を持っていますから、勇気を出して一度のぞいてみましょう。それが無理な人は直接詳しい説明を聞くようにしましょう。そして馬の食生活の管理を上手くやってみてください。

 はらのうちを語ると話は長くなるのですが、今回は2点に絞ってみました。機会があれば、また違う視点で書いてみたいと思います。

 今回もお付き合いありがとうございました。

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