2017-11-08

JRA日高育成牧場のあしはらです。

馴致も進んで

 釧路の初雪の便りを聞いたのが、10月17日のことでした。朝方も氷点下を記録するようになり、晩秋というよりは初冬という感じになってきました。そんな中で、まだこういう風景にはめぐり合えます。

Photo  日高育成牧場の1歳馬たち。指先に冷たさを感じながら覆い馬場に行くと、馴致の進んだグループが速歩をやっていました。更には800mの屋内トラックでは駆歩を。また、早いグループは坂路コースに入っているようです。馴致が早く進むもの、それなりのペースで進むもの・・・いろいろですが、全体的には順調に進んでいる様子です。

 また、浦河の当歳馬品評会も今月はじめに実施されました。生憎の雨模様でしたが、参加者の皆さんがそれぞれ投票する形で実施され、展示しながらいろいろな質問をして意見交換をする感じで行われました。それぞれの牧場の特徴を知ることができて、よかったと思います。

講習会に参加しよう

 先月は私も札幌で開かれた講習会に参加してきました。北海道各地で感染症対策の仕事をしている獣医さんが集まって、動物の病気の発生状況や対策法の検討に関する発表などを聞いてきました。北海道には14の家畜保健衛生所がありますが、それぞれの管轄で特徴があり、北海道全体の畜産酪農の状況や各地域の特徴を知ることができます。もちろん日高では馬に関する発表でした。十勝では、先日騒ぎになった鳥インフルエンザに関すること、面白いところでは、宗谷がトナカイに関する発表でした。私たちは馬に関することを中心に仕事をしていますが、牛や豚、鶏などの話の中で、馬にも参考になる情報を得ることができます。機会があれば、類似の講習会に参加してみるのも新鮮でいいと思いますよ。

身近なことに置き換えて考えてみる

 今回のテーマは「身近なことに置き換えて」です。時に考えに息詰まることがあると、「視点を変える」ことで、いい気分転換となり、良いアイデアを思いついたりすることがあります。前回からの流れで、親子馬を管理するうえで大切な放牧について少し書いてみたいと思いますが、ここは考えやすいように、馬たちを厩舎や放牧地で管理することと、自分があるきっかけでアパート暮らしを始める時と比べながら綴ってみることにします。

 きっと皆さんの中には、親元を離れて初めて一人暮らしをするっていう人もいるでしょうね?まずは部屋探しから始まると思いますが、それを決めるために、自分にあった条件をあれこれと考えることでしょう。例えば・・・

・日当たりのいい部屋がいいよね。

・周りが静かでリラックスできるといいなあ。

・広めでゆったりできる部屋、落ち着けるちょうどいい部屋、狭いけど使い勝手のいい部屋・・・どんな部屋にしようか?

・駅から近い部屋がいいよね・・・待てよ?健康のことも考えて少し遠くて毎日適度に歩ける距離がある方がいいかも。スポーツクラブも近くにあるといいなあ。

・ひとりでゆったり過ごすのもいいけど、ルームシェアで過ごすのも楽しいね。

・こまめに掃除をしないとね。どんな掃除機を準備しようかな。

・フローリングと畳ならどっちがいいかな。

・毎日レトルト食品を食べるのもよくない。台所用品を揃えないと。

・部屋の中の状態もよく見ておこう。突起物や穴が空いているなど、ちょっとしたことが危険だったりするし。

まあ、適当にあげてみましたが、とにかく自分が住む家ですから、じっくり考えて選ぶのは当然のこと・・・。

快適に過ごすために

 ところで、今回は親子馬の放牧についての話では?部屋探しと何か関係がある・・・?確かにそうですが、上にあげた項目それぞれで「意外と似ているな」と思うところもあるんですよ。順番に書いてみたいと思います。

・日当たりのいい部屋がいいよね。

 日当たりが良く、適度に木々が生い茂り、暑いときや大雨が降った時に隠れる場所などがある、馬が過ごしやすい放牧地であるべきですよね。風よけ、鹿よけ、雷防止・・・など様々な安全対策にも気を配りたいものです。

・周りが静かでリラックスできるといいなあ。

 競馬場に詳しい方ならピンと来ることですが、臨戦態勢に入っている競走馬は、調教もきついし、放牧してリラックスできることもほとんどないので、常に緊張した環境の中で過ごしていると言えます。しかし、牧場ではのびのびとできる放牧が可能になります。特に親子馬は放牧の時間が一番大切で、放牧地の環境の善し悪しが、子馬の成長の影響を及ぼすことになります。

・広めでゆったりできる部屋、落ち着けるちょうどいい部屋、狭いけど使い勝手のいい部屋・・・どんな部屋にしようか?

 狭いところに沢山の親子馬を放すとどうなるでしょうか?草が食べ尽くされて土壌に悪影響を与えます。広い放牧地に1組だけで放すのは・・・群れで生きる馬の世界ではあまりいいこととは思えません。精神面の成長を阻害する要因になります。馬は群れの中で一定の関係を構築することを忘れてはいけません。

・駅から近い部屋がいいよね・・・待てよ?健康のことも考えて少し遠くて毎日適度に歩ける距離がある方がいいかも。スポーツクラブも近くにあるといいなあ。

 放牧地内での運動はとても大切です。最近はGPSを使って距離を測定することもできます。適度な運動が筋肉や骨の適切な成長を促します。また、放牧地と厩舎の距離関係や放牧地の形状などは、使い勝手を良くしたり、逆に労働環境に悪影響を与えたりします。放牧地もうまく回していかないと、草が伸びすぎたり、生えなくなったりしますから注意が必要です。馬のコンディションを見ながら放牧条件を変えたくなることは良くあることです。馬の様子を見ながら考えてみましょう。

・ひとりでゆったり過ごすのもいいけど、ルームシェアで過ごすのも楽しいね。

 一人暮らしを始める人は、ひとりで住むのが当たり前ですが、馬は群れで過ごす動物なので、当然ルームシェア(こじつけがひどいですね。ご勘弁を)です。前回も書きましたが、馬の組み合わせはとても大事なので、個々の馬の性格を早めに把握して、上手に対応すべきでしょう。

・こまめに掃除をしないとね。どんな掃除機を準備しようかな。

 馬は草の根元を好んで食べます。ぼうぼうと草が長いままの放牧地を馬は好みません。適度に草を刈って美味しく草を食べられるようにしておく必要があります。また、糞が余りにも多く散在しているのもよくありません。寄生虫などで病気を促す原因にもなりますから、マメに拾って掃除することも大事ですね。

・フローリングと畳ならどっちがいいかな。

 一律、草の上で同じように過ごしているように見えても、その下の土の部分の硬さがひとつの要因となり、子馬の足もとに影響を及ぼしたりすることがあります。以前、ある牧場の土壌調査に同行したことがありますが、もともと河原だったところの放牧地は固くて、山に近い肥沃な土壌の放牧地では比較的柔らかかった。で、骨端炎と呼ばれる病気を発症した頭数を比較すると河原だった放牧地の子馬に多かったことがありました。自分の牧場の放牧地の性質もよく知っておくことが大切ですね。

・毎日レトルト食品を食べるのもよくない。台所用品を揃えないと。

 体重を量ったり、ボディーコンディションを記録したりしていく中で、通常より増えすぎる、逆になかなか増えないなど、個体によっては思いどおりにならないものもいます。決まったオリジナル飼料を漫然と与えるのではなく、状況を見ながら必要なものを足す、与える回数間隔を変えてみるなどの工夫が必要になっていくでしょう。人でも外食やコンビニ弁当に頼るのではなく、自ら台所に立って、栄養のバランスを考えた食事をすることが大切なはずです。

・部屋の中の状態もよく見ておこう。突起物や穴が空いているなど、ちょっとしたことが危険だったりするし。

 放牧地、馬房の点検はマメにやりましょう。牧柵が壊れている、雨風で水たまりや穴ができていて、それが原因で怪我をする・・・なんて話はよく聞きます。

 さて、どうでしょう?自分の部屋にいるときぐらい馬のことは忘れようという人もいると思いますが、くつろぎながら自分の馬のことを考えるのもいいかと。

 少し変わったタッチで書いてみましたがいかがでしたでしょうか?人も馬も住み心地をよくするための条件はそんなに変わらない・・・そんなことを伝えたかった今回のお話でした。

次回は、離乳、独り立ちの話をしようと思います。お付き合いありがとうございました!

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